ネットワークカメラのスマホ連動
総務省の通信利用動向調査によると、2017年のスマホ普及率は75.1%(世帯単位での集計です)、とうとうパソコンの普及率を上回りました。
社会全体におけるセキュリティ意識の高まりに加え、機器の性能向上や量産による低価格化で、急速に普及が拡がっているネットワークカメラですが、その活用に、スマホを組み合わせるお客様が増えています。
このページでは、ネットワークカメラとスマホの連動(スマホ連動)についてまとめました。
ネットワークカメラって何?
このページでは、スマートフォンで映像を確認できるカメラは、いわゆるアナログカメラも含めて、ネットワークカメラと表記します。
一般的にネットワークカメラというと、カメラ自体にIPアドレスがついている、カメラとパソコンが一体になったものを指します。
IPアドレスはネットワーク上の住所のようなもので、インターネットにつながっているパソコンやスマホにはそれぞれIPアドレスが設定されています。
スマホでネットワークカメラを見るために必要なもの
インターネット回線
ネットワークカメラを設置するためには、インターネット回線が必要です。【カメラを設置した場所のインターネットです】
ネットワークカメラはとても大きなデータ量を通信するため、光回線やWIMAXなど、高速通信が可能なブロードバンド回線がおすすめです。
通信速度が遅いと、録画映像に欠損が出るなどといった不具合が生じることがあるからです。
インターネット回線がない場合は、弊社の独自通信サービスをご提供することも可能です。
電源
ネットワークカメラに電気を供給する外電源も必要です。
お客様からのご要望も、屋外の資材置き場や駐車場など、無人だからこそその場所の様子をスマホで見たい、という場合が多く、それらの場合、電源の問題が出ることがしばしばあります。
電池タイプのネットワークカメラもありますが、24時間365日の防犯・見守りを目的とするカメラの場合、電池式では頻繁な電池交換をしなければならなかったり、もしかしたら肝心なときに電池が切れて役に立たないという事態が発生するかもしれません。
防犯カメラセンターでは電源からの電気供給を推奨しています。
スマホ(スマートフォン)
そして、スマホです。タブレットでももちろんかまいません。スマホ端末に関しては弊社ではお客様にご準備していただいております。もちろん今お使いのスマホで構いません。
カメラの映像を見るために、専用のアプリをインストールします。
アプリは、ネットワークカメラメーカーが提供しているものと、「ONVIF」という標準通信規格に則ったものとがあります。
スマホでカメラの映像を見るためには
ネットワークカメラじゃなきゃだめなの?
2018年の弊社実績によると、スマホ連動でカメラの映像を見るカメラは、圧倒的にアナログハイビジョンカメラ(同軸カメラ)が人気でした。
ざっくりとした割合では、約80%がアナログハイビジョンカメラ、約20%がIPカメラ(ネットワークカメラ)です。
カメラの採用基準はそれぞれのお客様により異なりますが、『防犯カメラ』としてカメラを導入される場合にかなり重要となるのが、『撮影・録画の安定性』。
IPカメラは、ネットワーク環境により伝達障害や録画の欠損が発生する可能性が否めないため、アナログハイビジョンカメラのほうが多く採用されているのではないかと考えられます。
また、IPカメラ(ネットワークカメラ)はその特性上、撮影してから確認できるまでに数秒間の遅延が生じてしまいます。
設置目的によってはこの“数秒間”が大きなリスクとなるケースもあるため、この点でもアナログハイビジョンカメラがすぐれているといえるでしょう。
一方で、IPカメラ(ネットワークカメラ)を導入されたお客様からは、パン・チルト(首ふり)機能やズーム機能など、遠隔でカメラを操作したいというご希望が多く聞こえました。
アナログハイビジョンカメラではこうした操作をするためには追加で機器を設置する必要があるため、トータルコストなどを勘案しながらご検討をいただきました。
実はネットワークカメラは
スマホ連動するのに向いていない?
ネット上の多くの記事では、スマホ連動といえばIPカメラがセットで紹介されています。
しかし上記のとおり、弊社の実績では、スマホ連動でも圧倒的にアナログハイビジョンカメラが人気です。
その理由として推測される内容を上述しましたが、実は、もっと決定的な要素があります。それは、導入・維持コストです。
『防犯』目的でカメラを活用する場合、同程度のシステムを構築しようとすると、現時点ではIPカメラは同軸カメラよりもハイコストになることは否めません。
※あくまでも『防犯』目的でカメラを導入されるケースです。
一般家庭の室内で、ペットなどの『見守り』目的にネットワークカメラを活用されるケースなどでは見解が異なります。
スマホでネットワークカメラを見たい人ってどんな人?
複数の小売店舗を経営しているオーナーさん
店舗の様子をいつでも確認できるということで、複数店舗を経営しているオーナーさまからのニーズは高いです。
従業員管理という目的だけではなく、店舗の込み具合や在庫管理をチェックすることで、適切な人員配置や業務効率の改善にも役立てられています。
インターネットを使ってカメラの映像を見ることで、本店から支店の様子を手にとるようにわかるようになります。
賃貸アパート・マンションを所有している大家さん
賃貸アパート・マンションでの防犯カメラ設置は急激に増えました。カメラを設置し抑止効果による防犯対策、事件が発生した際の証拠映像を記録するという目的だけではなく、住人同士のトラブルを解決するための記録映像、ゴミ捨て場が荒らされた場合に犯人を突き止める、など、日常運営のも役立てられています。
以前は常設モニターで映像を確認される方が大半でしたが、近年はネットワークカメラを設置し、スマホやタブレットを活用した遠隔監視の需要も増えています。
キャンプ場のオーナーさん
キャンプ場を運営しているオーナーさんも、スマホやタブレットによる遠隔監視をご希望されます。
キャンプ場に設置される防犯カメラは、シーズン中には犯罪抑止やトラブル回避に、また、シーズンオフのときは不審者対策に活用されます。
オーナーさんの居住地とキャンプ場が離れている場合、とくに閑散期にキャンプ場まで足を運ぶことが難しくなるため、スマホやタブレットによる遠隔監視が役に立ちます。
ビニールハウス栽培をしている農家さん
ビニールハウスへのネットワークカメラ設置も増えています。防犯対策や不審者の特定という目的だけではなく、栽培の効率向上に役立てられるケースが多いことが特徴です。
スマホやタブレットを活用して頻繁に農作物の育成状態を確認することで、巡回の手間を削減しながら、見落としリスクも減らすことができます。
海外からスマホでネットワークカメラを見れるの?
海外出張の多いお客様からは、「海外からも映像はみれるの?」というお問い合わせをいただくことがございます。
WEBサイトが見れるように、ネットワークカメラの映像もインターネットがつながっていればどこからでも確認できますので、ご安心くださいませ。
ただ一点注意が必要なのが、中国からの確認です。
ネット規制がどんどん厳しくなっているので、VPNを準備してください。
VPNへの規制も厳しさが増しているので、VPN対応のれんたるWi-Fiや、複数の国にサーバーのあるVPNを使うなど、状況に合わせて対策が必要です。
※VPNとは?
VPN(バーチャルプライベートネットワーク)とは、仮想のネットワーク空間のことを指します。
VPNを使えば、日本を含む外国のIPアドレスを取得することが出来るので、中国で使っているスマホ・タブレット・パソコンが、外国にあるスマホ・タブレット・パソコンとして認識されます。
検閲が厳しい中国でも引っかかりにくくなるための仕組みです。
ネットワークカメラをスマホで見るために必要なアプリ
スマホ連動で映像を確認するためのアプリには、汎用型のものと、ネットワークカメラメーカーがカメラと連携するように提供しているものとがあります。
一般的に世の中のスマホにはアップル社が提供するiOS(アイフォーン)とグーグル社が提供するアンドロイドOSの2種類があり、そのどちらにも提供されるアプリを利用するようにしましょう。
そうすることによりスマホに左右されないシステムを長期間利用することができます。
汎用型ネットワークカメラアプリ
ネットワークカメラとスマホを連携するために、「ONVIF」という標準通信規格があります。
ネットワークカメラとスマホアプリ、両方がこの規格に対応していれば、連携ができます。
専用のスマホアプリをつくるために費用が割けないなどの理由で、比較的安価な防犯カメラを販売しているメーカーでは標準通信規格に沿ったアプリを使うことがあります。
便利である反面、ネットワークカメラもスマホも常にバージョンアップされていくため、アップデートのタイミングで連携が出来なくなることもあり、注意が必要です。
「ONVIF」に沿ったアプリで代表的なものには「Ivideon 監視カメラ」などがあります。
https://apps.apple.com/jp/developer/mobile-video-solutions/id464234178
防犯カメラメーカーから提供されるアプリ
防犯カメラをつくっているメーカーが、連携するスマホアプリを提供している場合のアプリです。
防犯カメラの説明書などにアプリのダウンロード方法や使い方なども解説されているため、比較的スムーズに操作することができます。
5Gが導入されるとネットワークカメラはこう変わる?
注目されている5G(第5世代移動通信システム)がスタートすると、ネットワークカメラ活用の幅も大きく拡がります。
日本では2020年春から導入が進み、以降少しずつ拡大していくと考えられています。
ただし、スマホ側の機能がそれに追いつくかどうかという問題もあり、普及には少しの時間がかかりそうです。
自動運転への応用
自動運転車で撮影されたリアルタイム映像を遠隔監視。
5Gを用いることで、車両から見た複数方向の高画質映像を低遅延でセンターへ配信することができ、トラブル発生時などの迅速な対応に役立てられる。
カメラ不要?!思い出スナップの自動生成に応用
事前に顔の情報を登録しておくことで、各所に設置してあるネットワークカメラが顔認証を実施。
顔認証瞬間および前後の写真のみならず、アルゴリズムを併用することでベストショットを判定し保存できる。
リアルタイムかつライブ感のあるスポーツ観戦に応用
5Gの無線伝送技術を生かしてスタジアム全体の大量の情報を配信し、その情報をVRと組み合わせることで、遠隔地にいながらにして臨場感のあるスポーツ観戦ができる。
この他にも、都市計画や向上を含む生産現場の遠隔操作など、さまざまな場面での活用が期待されています。
スマホ料金気をつけたい
最後に、スマホ連動で防犯カメラ映像を確認する際に気をつけたい見落としがちなポイントについてご紹介します。
防犯カメラを設置する場合、ネットワークカメラ本体の価格、工事が必要な場合にはその工事費など、導入費用についてはよくよく検討材料に入るのですが、見落としがちなのが、映像を確認するための通信費用です。
データ量無制限契約のカメラ設置側の通信料は問題ないのですが、スマホの通信料については注意が必要です。
ついつい頻繁に確認して、あっという間に契約データ量に達してしまう、さらには、高速通信分のデータ量を追加購入することになる可能性もあります。
映像の確認は、時間を決める、またはWi-Fi環境のある場所でするなど、工夫が必要かもしれません。